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PNとPDRNの違い — リジュランとサーモン注射は同じものか

リジュランのご相談の中で、それはサーモン注射ですよねと確認される方が多くいらっしゃいます。逆に、サーモン注射を受けたことがある方が、リジュランをすでに受けたものと思っていらっしゃる場合もあります。どちらもサーモンから得られたDNA由来の物質という出発点は同じですが、分類上は互いに別の物質です。この記事では、PNとPDRNが何がどう違うのか、そしてその違いがニキビ跡においてどういう意味を持つのかを整理します。

3行まとめ

  • エイブル皮膚科が扱うリジュランヒーラーの成分はPN(ポリヌクレオチド)で、韓国で一般にサーモン注射と呼ばれる系統の成分はPDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)です。どちらもサーモンから得られますが、抽出する部位が異なり、鎖の長さも違います。
  • 2つの物質は同じアデノシンA2A受容体の経路を共有しますが、分子量の大きいPNには物理的な支持体としての役割と、より長い持続が加わります。韓国での承認区分も異なり、PDRNは医療用医薬品、PNは組織修復用生体材料に分類されます。
  • ニキビ跡ではまだ赤みが残る未成熟な瘢痕で期待できる範囲がもっとも広くなります。固まってしまったアイスピック型・ボックスカー型の瘢痕は注入だけでは解決せず、ポテンツァ(ニードルRF)・CO2フラクショナル・サブシジョンと順序を分けて計画します。

PNとPDRNは、どちらもサーモン由来のDNAの断片です

どちらも1990年代から創傷治癒と皮膚再生の領域で注目されてきたDNA由来の高分子です。順番でいえばPDRNのほうが先でした。美容目的というより、傷が治っていく段階を促す用途で医療の現場ではるかに長く使われてきたもので、用途が広がったのは比較的最近のことです。PNの代表格であるリジュランは2015年に韓国で発売されました。

同じ系統の物質はヒトの胎盤の中にも存在しますが、倫理的な問題から使用が難しく、魚類から得る方法が代わりとして定着したと言われています。そのため、どちらの物質もサーモンから出発しています。

抽出する部位が異なります

  • PDRN — サーモンの精子(精液)から抽出したDNA物質です。
  • PN — サーモンの精巣から抽出したDNA物質です。

原料を得る条件も簡単ではありません。サーモン1匹から採取できる精液は10〜15ml、精巣からは80〜100g程度とされ、精液が1kgあっておよそ5,000バイアル分の製品ができると言われています。さらに、海の中では生殖細胞が活性化しないため、産卵期に川をさかのぼる時期に原料を確保する必要があります。よく似た名前の2つの物質が一緒に語られる背景には、こうした共通の出発点があります。

PDRNが最初に使われた場所は美容ではありませんでした

PDRNが長く使われてきたのは、傷が治っていく過程そのものでした。傷は炎症期・増殖期・成熟期を順に経て治りますが、この過程がなめらかに進まず、どこかの段階で遅れたり過剰に進んだりすると、その跡が瘢痕として残ります。PDRNはこの回復段階を促す目的で医療の現場に先に定着し、美容目的での使用はその後に広がったかたちです。

この順番を知ると、2つの物質の見え方が少し変わります。PNとPDRNは、はじめから肌をきれいに見せるために設計された物質ではなく、組織が治っていく過程に介入する物質から出発しました。後ほど見ていく瘢痕での使い方のほうがこの系統の本来の位置に近く、毛穴・小じわ・インナードライといった項目は、同じ作用が美容の領域で現れたかたちだと考えるとわかりやすくなります。

違いを分けるのは鎖の長さ、つまり分子量です

PNもPDRNも、DNAの断片からなる高分子です。一般に知られている分子量の範囲は50〜1,500kDaですが、近年の研究では1kDaから10,000kDaまで、はるかに幅のある大きさの断片が確認されたと報告されています。名前は2つあるのに実体の重なる範囲が広いため、かつてはPDRNとPNが混同して使われることもありました。

そのため最近では、分子量を基準線にして2つの物質を区分しようという提案が出ています。あくまで提案であり、すべての資料がこの線に従っているわけではない点も併せて知っておいていただく必要があります。ただ、2つの名前を区別して使おうという流れが分子量を根拠に整理されつつある、という事実自体は参考になります。

区分分子量の基準(提案)韓国での分類加わる性質
PDRN1,500kDa未満医療用医薬品再生シグナル中心
PN1,500kDa以上組織修復用生体材料(医療機器)再生シグナル+物理的な支持体

kDaという単位が実際に意味すること

kDaは分子1つの重さを測る単位です。DNAの断片はヌクレオチドという単位が鎖のようにつながった構造ですから、分子量が大きいということは、そのまま鎖が長いということとほぼ同じ意味になります。同じ材料から作られたものでも、鎖をどれだけ短く切ったかによって重さが変わり、体の中での働きも変わります。

短く切られた断片は拡散が速く広く行き渡りますが、その場に長くとどまることはできません。逆に長く残った鎖は互いに絡み合ってゲルに近い性質を帯び、注入した場所で形を保ったままとどまります。2つの物質の違いは、成分表の名前に探すよりも鎖の長さによって分かれる性質として理解するほうが実際に近くなります。

鎖が長いということは分子1つがそれだけ重いということでもあり、同じ容量に入る有効成分の量も大きく変わります。市販のPDRNアンプルには3mlに有効成分が5mg程度入っている製品がある一方で、リジュランは2mlにPNが40mg入っています。数字だけ見れば大きな差ですが、これは効果の優劣というより、分子の大きさが違う物質をそれぞれ別の目的の製剤にしたために生じる差と見るほうが正確です。

ですから、2つの物質をmg単位で並べて比較する見方は誤解を生みやすくなります。重い分子は同じ個数でもmgの数字が大きく出ますし、軽い分子は同じmgの中にはるかに多くの個数が入ります。含有量の数字が大きいからといって再生シグナルがその分だけ強いとは読めませんし、数字が小さいからといって効果がその分だけ弱いとも読めません。比べるべきなのは数字ではなく、その物質がその場所でどういう役割を果たすように作られているかです。

リジュランという名前の中でも、含有量は同じではありません

エイブル皮膚科が扱うリジュランの系統は、リジュランヒーラー(PN)、リジュランHB+(PN+HA)、そして目の下専用のリジュランIです。

  • リジュランヒーラー・リジュランI — 1mlあたりのPN含有量は同じで、粘度にだけ差をつけた製剤です。注入する部位と深さに合わせて選びます。
  • リジュランHB+ — 1mlあたりのPN含有量が半分に減る代わりに、ヒアルロン酸と麻酔成分が一緒に入ります。直後のうるおい感と、施術中の負担の少なさに重きを置いた構成です。

同じリジュランという名前の下でも、何を受けたかによって実際に入ったPNの量は違います。ここまで確認しないと、前回受けたリジュランと今回受けたリジュランが同じ結果にならない理由を説明することが難しくなります。

作用経路は共有し、PNはここにもう一つを加えます

PNとPDRNは皮膚の中でより小さなDNAの断片に分解され、この断片が線維芽細胞のアデノシンA2A受容体を刺激します。受容体が刺激されると細胞内でcAMPが増え、これがプロテインキナーゼA(PKA)の活性につながります。PKAは細胞の成長・生存・分化に直接関わるシグナルで、その結果として現れるのが血管新生、炎症の軽減、コラーゲン合成です。

整理すると、2つの物質が共有する効果は創傷治癒の促進、炎症の軽減、そして皮膚の再生とエイジングケアの方向への変化です。ここまではPNとPDRNが事実上同じ話をしています。2つが同じものとして理解されやすい理由でもあります。

3つの効果が皮膚で意味すること

  • 血管新生 — 回復が必要な場所に血流が届いてはじめて、材料と酸素が供給されます。瘢痕がうまく治らない場所は、たいていこの供給が足りていない状態です。
  • 炎症の軽減 — 炎症が長く続くと、それ自体が瘢痕を大きくする方向に働きます。炎症を整える方向は、結果として瘢痕が残る程度を減らすことにつながります。
  • コラーゲン合成 — 崩れた場所を埋め直す材料が作られます。ただしこれは材料を作るシグナルであって、すでに誤って配列され固まってしまった構造をほどくシグナルではありません。

最後の項目が重要です。この系統の物質は回復が進行中の組織を助ける方向に働くのであって、すでに出来上がった構造を解体して作り直す方向には働きません。後ほど瘢痕を分けて見る基準は、ここから出てきます。

PNには支持体としての役割が加わります

  • 粘弾性 — 分子量の大きいPNはゲル状で組織の中に収まり、注入した場所に一定期間とどまります。PDRNにはない性質です。ただし、ボリュームを足すフィラーとは目的も使用量も異なります。
  • 保湿 — PNは水分子と結合しやすい性質があり、注入した場所にうるおいのある環境をつくる方向に働きます。
  • 持続 — 高分子であるぶん皮膚の中により長くとどまり、効果が長く続く傾向があります。
  • 痛み — ゲル状で粘度があるため、注射のときに感じる痛みはPDRNよりPNのほうが概して強めです。良い面だけの性質ではありません。

韓国での承認区分が分かれる理由もここにあります。PDRNは医療用医薬品、文字どおり薬の成分として分類され、韓国食品医薬品安全処が承認した効能・効果は皮膚移植による傷の治療および組織修復です。一方PNは組織修復用生体材料、つまり医療機器に分類されます。分子の大きさが大きく、従来のPDRNの効果に加えて物理的な支持体としての効果まで持つためで、そのため皮膚の再生だけでなく、関節軟骨の再生や骨形成の促進といった領域でも使われています。同じ根から出た物質が、それぞれ異なる法的な区分に置かれているわけです。

比較項目PDRNPN
抽出部位サーモンの精子(精液)サーモンの精巣
鎖の長さ・分子量相対的に短い相対的に長い
A2A受容体の経路ありあり
物理的な支持体なしあり
水分保持限定的水分子と結合しやすい
持続相対的に短め相対的に長め
注射時の痛み少なめ粘度のため強め
韓国での分類医療用医薬品組織修復用生体材料

表で注目していただきたいのは3行目です。再生シグナルをつくる経路は2つの物質で同じです。分かれるのはその下、つまり物質がその場に残って何を追加するのかです。ですから同じ目的であればどちらを使っても方向は似たかたちに定まり、支える役割が必要な場面では選択肢が片方に絞られます。

サーモン注射とリジュランが一緒に語られる理由

韓国ではサーモン注射という言葉が、通常PDRN系統の注射剤を指す表現として使われています。正式な分類名ではなく、原料がサーモンであることから付いた韓国市場での通称です。

問題は、リジュランの成分であるPNも同じサーモンから得られるという点です。原料が同じで、分解されたあとに作用する受容体の経路も同じ、期待する方向である再生・炎症の軽減・コラーゲンまで重なります。そのため診察の場でもサーモン注射とリジュランが自然に一緒に挙がり、2つを同じ施術として理解して来院される場合が出てきます。

ただ、分類上は区別しておくほうがよいと考えています。エイブル皮膚科が扱うリジュランヒーラーの成分はPNであり、PDRNではありません。2つの物質は分子量の基準が違い、承認区分が違い、支持体としての役割の有無が違います。どちらが優れているという話ではなく、別の目的に使われる別の物質だという意味です。エイブル皮膚科では、PN系統のリジュランとは別にPDRN再生注射も併せて用意しており、目的に応じて使い分けています。

どちらを使うかは目的が決めます

  • 物質がとどまる必要があるとき — 陥凹した部位では注入後に一定期間組織内にとどまる性質が必要になるため、分子量が大きく粘弾性の高いPNが設計に入ってきます。
  • 広い面積の回復とバリアの安定が目的のとき — 粘度が低く広く行き渡らせやすい、注射の負担が少ないPDRNが選択肢になります。
  • 2つを併用する場合 — 同じ目的で重ねるのではなく、層と部位を分けて配置し、互いの役割が重複しないように計画します。

名前が混ざって使われることが単なる用語の問題で終わらない理由はここにあります。2つの物質は製剤も、必要な量も、回数と間隔の決め方も違います。サーモン注射とリジュランを同じものとして理解したまま計画を立てると、期待する変化と実際に受けた物質がずれてしまいやすくなります。診察でまず確認すべきなのは名前よりも、いま必要なのが再生シグナルなのか、支える役割までなのかです。

ニキビ跡で期待できること

A2A受容体からPKAへとつながる経路は、結局のところ組織が治っていく過程に介入するシグナルです。ですからPNとPDRNが力を発揮しやすい瘢痕は、すでに出来上がって固まってしまった瘢痕ではなく、まだ瘢痕になっていく途中の未成熟な瘢痕です。

  • 赤みが残っているニキビ跡
  • けがのあとの赤い瘢痕
  • やけどの瘢痕のように回復過程が進行中の瘢痕

未成熟な瘢痕と成熟した瘢痕を分ける基準

診察でこの2つを分けるとき、まず見るのはです。赤みが残っているということは、その場所にまだ血管が増えていて回復反応が進行中だという意味です。この段階では組織がどう落ち着くかがまだ決まっていないため、再生シグナルを入れることが結果に介入する余地が残っています。

逆に、赤みが引いて周囲の皮膚と同じ色に落ち着いた瘢痕は、構造がすでに固まった状態に近くなります。このときはシグナルを足したところで、固まっている配列がほどけることはありません。同じニキビ跡という名前で来院されても、どの段階にあるかによって計画が変わる理由です。

実際に報告されている症例も、この範囲に集まっています。PDRNはもともと傷を回復させる目的で使われてきた物質のため、瘢痕に使用された報告自体は多くありませんが、皮膚移植手術のあとに拘縮まで進んだ肥厚性瘢痕にPDRNを使用した症例報告があります。治療を開始して12か月目に瘢痕部位の質感が改善し、赤みもかなりの部分が改善した経過が記述されています(Belmontesi M, J Cosmet Dermatol, 2020)。この症例もまた赤みの残る未成熟な瘢痕に当たり、フラクショナルレーザーやピンホールのような治療が併せて行われていれば結果はより良かっただろうという点も併せて言及されています。

PN側は、瘢痕に関連する報告が相対的に多めです。顔の外傷による瘢痕、胸部手術のあとの瘢痕、犬に咬まれた瘢痕など、さまざまな瘢痕にPN製剤を2〜3回から数回にわたって適用した症例を集めた研究では、多くで瘢痕の質感と紅斑に改善方向の変化が観察されました(Kim MJ ほか, J Dermatolog Treat, 2024)。また、甲状腺手術の瘢痕を対象に16週間、PN施行群と非施行群に分けて3D画像で比較した無作為化二重盲検対照研究も発表されています(Kim JH ほか, Lasers Surg Med, 2018)。

すでにできた瘢痕よりも、できつつある瘢痕へ

先ほどの甲状腺手術の瘢痕の研究が興味深いのは、治療ではなく予防の観点から設計されている点です。すでに出来上がった瘢痕を戻すのではなく、瘢痕が作られていく期間に介入して残る程度を減らしてみるという方向です。PNとPDRNの系統がもっとも説得力を持つ位置も、ここに近いと言えます。

ニキビに置き換えて見ると、この話はかなり具体的になります。炎症性のニキビが落ち着いた直後の赤い跡は、瘢痕として固まることもあれば跡として通り過ぎることもある、まだ決まっていない区間です。この区間で炎症を整えて回復シグナルを足しておくと、瘢痕化が最小限になる方向に働く余地があります。逆にこの時期を過ぎてから来院されると、同じ物質で扱える幅が目に見えて狭くなります。

ただしこれにも個人差があり、ニキビが繰り返し出ている状態であれば、跡を扱う前に炎症を減らす治療が順序として先になります。回復シグナルをいくら入れても、新しい炎症が生じ続ける場所では結果が積み上がりません。

萎縮性、つまり陥凹したニキビ跡でPNを積極的に検討する根拠は、ここにもう一つが加わるためです。PDRNが持つ一般的な創傷再生の効果に加えて、PNでは注入した場所に一定期間とどまる性質が加わります。へこんだ場所に物質が残っている間、その空間は組織で埋まりやすい状態になり、高分子であるぶんその状態がより長く保たれる傾向があります。ボリューム自体を足すフィラーとは目的が異なります。埋めて持ち上げる必要がある瘢痕にPDRNを使うとき、ヒアルロン酸と混ぜて支持体としての役割を補う方法が使われるのも同じ理由です。

結節の形成に関しては、瘢痕に使われる他のコラーゲン刺激物質に比べて、PN・PDRN系統の懸念は相対的に少なめとされています。PDRNは非常に高い温度で抽出・精製される過程を経るため、タンパク質とペプチドが不活性化されるからです。ただし、だからといってどんな反応も起きないという意味ではなく、注入の深さや部位によって一時的な腫れや内出血が生じることがあり、経過には個人差があります。

期待しにくいこと — 注入だけでは届かない瘢痕

ここまで読むと、リジュランを何度か受ければニキビ跡が整理されるように感じられるかもしれません。そうではありません。これまでの根拠はその多くが赤みが残る未成熟な瘢痕、瘢痕が作られる過程での予防と最小化、そして浅くなだらかな陥凹に集まっています。すでに形が固まってしまった瘢痕は話が違います。

  • アイスピック型の瘢痕 — 狭く深く入り込んだ構造のため、注入した物質がその形を戻すことはできません。ドットピール(TCA CROSS)やCO2レーザーで構造そのものを扱うアプローチが先になります。
  • 境界のはっきりしたボックスカー型の瘢痕 — 壁が垂直に立っているため、周囲の組織と高さを合わせる作業が必要です。CO2フラクショナルやピンホールのように縁を扱う治療が軸になります。
  • 癒着の強いローリング型の瘢痕 — 底が下の組織に引っ張られている状態のため、まずその癒着を切り離さないと、何を入れても再び押し下げられます。サブシジョンがこの役割を担います。
  • 時間が経って成熟した瘢痕 — 再生シグナルに反応する余地が減った状態のため、未成熟な瘢痕で期待する程度の変化を同じ基準で期待することは難しくなります。

ですから瘢痕治療におけるPNとPDRNの位置は、多くの場合単独の主役ではなく構造を扱う治療と組み合わせる位置です。ポテンツァ(ニードルRF)は微細な針で表面を経由せずに目標の深さへ高周波を伝え、瘢痕の下の線維組織を扱います。CO2フラクショナルは表面から真皮まで微細な熱損傷をつくって再構築を促し、サブシジョンはくっついている底を物理的に剥がします。PNとPDRNは、こうした治療が開いた回復の過程の上に再生シグナルを足し、赤みを減らす方向に働き、陥凹した場所を一定期間支える役割を果たします。

逆に、どちらか一方だけを繰り返す計画は概して満足度が低くなります。構造を扱う治療だけを繰り返すと回復が追いつかずに赤みが長く残り、注入だけを繰り返すと固まっている構造はそのまま残ります。回数と間隔、そしてどの治療を先に置くかを、瘢痕の形と成熟度に合わせて決めることが結果を分けます。効果には個人差があります。

期待値を先に合わせておくほうがよいと考えています

ニキビ跡は、一人の顔に何種類かが混ざっている場合がほとんどです。赤みが残る跡と浅く押された場所、境界の立ったボックスカー型、狭く深いアイスピック型が片方の頬に一緒にある、といったかたちです。このうちPNとPDRNが担当できる分は全体の一部であり、残りは他の治療が担います。

ですから診察では、どの瘢痕が今回の計画で変わり得るのか、どの瘢痕は次の段階に進むのかを先に分けてお伝えしています。この区別なく始めると、実際には計画どおりに進んだのに期待とずれたという感覚だけが残りやすくなります。瘢痕治療において期待値を合わせる作業は、施術そのものと同じくらい結果に影響します。

エイブル皮膚科ではこう使い分けています

まず瘢痕の成熟度を見ます。赤みが残っているか、皮膚を引っ張ったときに底がついてくるか、境界がどういう形かによって、同じニキビ跡でも計画が変わります。物質を先に選んでそこに瘢痕を合わせる順番ではありません。

診察で実際に確認する項目は大きく4つです。瘢痕に赤みが残っているか、皮膚を横に引っ張ったときに底がついてくるか(ついてこなければ癒着があるというサインです)、境界が立っているかなだらかか、そして炎症性のニキビがまだ出ているかです。4つ目が残っていれば、瘢痕の計画より炎症を減らす治療が先になります。

  • リジュランヒーラー(PN) — 再生と肌のキメが目的のとき、そして陥凹した部位に物質が一定期間とどまる必要があるときに使用します。
  • リジュランHB+(PN+HA) — PN含有量が半分の代わりにヒアルロン酸と麻酔成分が入るため、保湿と施術中の快適さに重きを置くときに選びます。
  • リジュランI — 目の下のように皮膚が薄く面積の狭い部位のための構成です。
  • PDRN再生注射 — 広い面積の回復とバリアの安定が目的のとき、あるいは注射の負担を下げて進める必要があるときに活用します。
  • シナジェット(針を使わない注入) — 針での注入が難しい状況や、広い面積に浅く行き渡らせる必要があるときに、伝達方法として検討します。

同じ量でも、どこに置いたかで違います

注入の仕方も均一に分けることはしません。決まった間隔で顔全体に同じ量を置く方法よりも、陥凹があったりボリュームの回復が必要な部位に先に注射し、そのあとに全体へ薄く行き渡らせる順序を選びます。瘢痕治療が目的でない場合も同じです。同じ量でも、どこにどれだけ置いたかによって結果が変わるからです。

リジュランの話をするとき、注入の跡がどれだけ細かく付いたかを基準にする場合があります。しかし注入の跡は物質が入った位置をしばらく示しているだけの痕跡で、数時間から1日のあいだに落ち着きます。残るのは跡の数ではなく、どの深さに、どの場所に、どれだけ入ったかです。同じ量を均一な間隔で顔全体に分けて置くと、本来支えるべき場所に回る量は減ってしまいます。

深さも目的によって変わります。肌のキメとうるおいが目的なら浅い層に薄く行き渡らせ、陥凹した場所を支えることが目的ならその下に収まるように入れます。同じ製品を同じ量で使っても、この設計が違えば結果が変わりますので、何を受けたかと同じくらい、どう置いたかを併せてご確認いただく必要があります。

瘢痕が主な目的であれば、注入だけで計画を立てることはしません。瘢痕の形と深さに応じてポテンツァ、CO2フラクショナル、ピンホール、ドットピール(TCA CROSS)、サブシジョンを軸に置き、赤みも併せて残っていればVビームまで含めて順序を決めたうえで、その合間にPNまたはPDRNを配置します。ダウンタイムが必要な治療とそうでない治療をどう並べるかが、全体のスケジュールの骨格になります。

治療の順序を決めるときに基準になるのはダウンタイムです。CO2フラクショナルやピンホールのように表面にかさぶたができる治療にはダウンタイムが必要で、その期間には注入を重ねて置きません。逆に回復がある程度進んだ時点でPNやPDRNを配置すると、再生シグナルがその過程に乗るかたちになります。どの治療を先に行うかよりも、2つのあいだの間隔をどう取るかのほうが、実際のスケジュールでは問題になることが多くあります。

付け加えると、PDRNについては肌のキメの改善、DNA合成の増加を通じた傷の回復と再生、チロシナーゼを妨げる方向の色素の改善、毛髪の改善などが知られています。ただしこうした項目は瘢痕治療とは目的の異なる話であり、1つの注射ですべてのお悩みが一緒に解決するという意味ではありません。何を目標に置くかによって、同じ物質でも使い方が変わります。

診察から施術まで

皮膚科専門医が直接診察して原因の層を確認し、機器とパラメータを決めたうえで、同じ専門医が施術まで続けて行います。カウンセラーが施術をおすすめする仕組みではありません。

回数・間隔・メンテナンスの時期・費用は、最初の施術の前に一緒に決めます。

よくあるご質問

エイブル皮膚科にはPNとPDRNの両方がありますか?
PN系統としてリジュランヒーラー(PN)、リジュランHB+(PN+HA)、目の下専用のリジュランIを用意し、これとは別にPDRN再生注射も併せて用意しています。2つを同じ目的で重ねて使うより、目的と部位を分けて配置する方法で使用します。
何回をどのくらいの間隔で受ければよいですか?
瘢痕が目的なのか、肌のキメと保湿が目的なのか、併せて進める治療があるかによって変わります。ダウンタイムが必要なレーザー治療と一緒に計画するときは、そのスケジュールに合わせて間隔を取ります。回数と間隔、メンテナンスの時期は、最初の施術の前に一緒に決めます。
効果はいつから感じられ、どのくらい持続しますか?
直後に感じるうるおいやなめらかさは、製剤そのものとむくみによる一時的な変化に近いものです。再生とコラーゲン側の変化は通常、回数を重ねながら数週間から数か月かけて徐々に現れる傾向があります。持続する期間は年齢・肌の状態・瘢痕の成熟度によって変わりますので、個人差があります。
PNやPDRNを受けるとしこりができることはありますか?
瘢痕に使われる他のコラーゲン刺激物質に比べると、結節に関連する懸念は相対的に少なめとされています。PDRNは非常に高い温度で抽出・精製される過程を経るため、タンパク質とペプチドが不活性化されるからです。それでも注入の深さや部位によって一時的な腫れや内出血が生じることがあり、経過には個人差があります。
ニキビの跡がまだ赤い段階ですが、今受けても大丈夫でしょうか?
赤みが残る段階は、PNとPDRNの期待できる範囲に比較的よく入る区間に当たります。ただし活動性のニキビが一緒にある場合は、炎症を先に落ち着かせることが順序として先になります。診察で炎症の状態と跡の成熟度を併せて確認したうえで、開始の時期を決めます。
瘢痕が古いのですが、効果はありますか?
報告されている症例の多くは、赤みが残る未成熟な瘢痕に集まっています。時間が経って成熟した瘢痕は再生シグナルに反応する余地が減った状態のため、同じ基準で期待することは難しくなります。この場合は、構造を扱う治療の比重を先に上げるほうが現実的です。
では瘢痕には何と一緒に進めますか?
瘢痕の形と深さに応じてポテンツァ(ニードルRF)、CO2フラクショナル、ピンホール、ドットピール(TCA CROSS)、サブシジョンなどを軸に置き、その合間にPNやPDRNを配置します。構造を扱う治療がつくった回復の過程の上に、再生シグナルを足す配置です。順序と間隔は瘢痕の状態に応じて決めます。
ニキビ跡にリジュランだけを何度も受ければ良くなりますか?
瘢痕の種類と成熟度によって異なります。まだ赤みが残る未成熟な瘢痕や、浅くなだらかな陥凹であれば注入だけでも変化を期待できますが、固まってしまったアイスピック型・ボックスカー型の瘢痕や、癒着の強いローリング型の瘢痕は、構造を扱う治療が先に必要です。注入だけで瘢痕が整理されると考えることは難しいと言えます。
リジュランの注射は痛いと聞きましたが、なぜでしょうか?
PNは高分子のためゲル状で、粘度があります。同じ部位に同じ量を入れても、粘度のある製剤は組織を押し広げながら入っていくため、PDRN系統より痛みを感じやすい傾向があります。麻酔クリームと注入方法で負担を減らしますが、感じ方には個人差があります。
リジュランヒーラーとリジュランHB+は何が違いますか?
リジュランヒーラーはPNで構成され、リジュランHB+は1mlあたりのPN含有量が半分に減る代わりに、ヒアルロン酸と麻酔成分が一緒に入ります。そのためHB+は施術中の負担が少なく、直後のうるおい感を感じやすい一方、PN自体の量はヒーラーのほうが多くなります。目的に応じて使い分けます。
PNとPDRNではどちらが良いのでしょうか?
良し悪しというより用途が異なります。分子量の大きいPNは再生シグナルに加えて物理的な支持体としての役割と長い持続を持ち、PDRNは粘度が低いため広い面積に行き渡らせやすく、注射の負担が少なめです。支えるべき空間があるのか、広い面積の回復が目的なのかによって選択が分かれます。
リジュランはサーモン注射ですか?
韓国でサーモン注射という言葉は、通常PDRN系統の注射剤を指す表現として使われています。リジュランヒーラーの成分はPN(ポリヌクレオチド)で、PDRNとは分子量の基準も韓国での承認区分も異なります。原料が同じサーモンで、分解されたあとに作用する受容体の経路も重なるため一括りに呼ばれますが、分類上は互いに別の物質です。
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