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スキンブースターとコラーゲン刺激剤 — 入れた物質が働くのか、自分の組織が働くのか

「スキンブースターとコラーゲンブースターは、正確には何が違うのですか?」診察室でもっともよくいただく質問のひとつです。名前が似ていて、どちらも注射で入れるうえ、広告ではほとんど区別なく使われていますから、迷われるのは当然だと思います。ところがこの二つのカテゴリーは、皮膚の中で起きていること自体が違います。効果がいつ現れるのか、何回をどの間隔で受けるのか、気に入らなかったときに戻せるのか — そのすべてがこの違いから分かれていきます。

3行まとめ

  • スキンブースターは入れた物質が直接働く「補充型」、コラーゲン刺激剤は自分の組織にコラーゲンをつくらせる「誘導型」です。名前ではなく、成分分類と作用のしくみで分かれます。
  • 補充型は入れた直後から数週のあいだに変化が現れ、3〜6か月ほど維持される傾向があります。誘導型は4〜12週以降からゆっくり現れ、1〜3年まで維持される傾向があります。
  • そのため回数設計の考え方も違います。補充型は分解される分を補う周期で、誘導型は組織の反応が積み上がる時間を置く間隔で決めます。個人差があります。

二つのカテゴリーを分ける質問は二つです

最近はほとんどの注入製剤が「スキンブースター」「コラーゲンブースター」「バイオスティミュレーター」という名前で登場します。非架橋ヒアルロン酸のような典型的なスキンブースターから、PLLA・PDLLA・CaHA・液状PCLのような典型的なコラーゲン刺激剤、さらにそれらを組み合わせた製品まで、すべて似た名前でまとめられています。患者さんから見れば、どれも「肌が良くなる注射」に見えて当然です。

診察室でこの二つを分けるとき、私たちが立てる問いは二つです。

  • ひとつめは、入れる物質が何か — 自分の皮膚にもともとあった成分、あるいはそれとほぼ同じ生体類似物質なのか。それとも皮膚にもともと存在しない合成ポリマーや非内因性の物質なのか。
  • ふたつめは、その物質がどんな反応を起こすか — 生理的なシグナル伝達を通じて細胞を刺激するのか。それとも異物反応そのものを必須の作用機序として使うのか。

この二つにいずれも前者で答えられるなら補充型、つまりスキンブースター系です。後者で答えられるなら誘導型、つまりコラーゲン刺激剤系です。成分名を覚えるよりも、この二つの問いを覚えておかれるほうが、実際にはずっと役に立ちます。

なぜ名前だけでは分からないのでしょうか

いまのところ、この二つをはっきり分ける公式な分類がないためです。論文や学会のガイドを見ても、国や著者によって用語の使い方が少しずつ違い、文献によってはPN系をバイオスティミュレーターのほうに入れることもあります。ですから、製品名に「ブースター」が付いているという事実だけでは、それが何をする物質なのかは分かりません。

この記事で用いる分類は、これまでの研究文献と作用機序をもとに診察室で使っている整理であり、新しい研究が出れば十分に調整され得る開かれた基準であることを、先にお伝えしておきます。

補充型 — 入れた物質が直接働きます

補充型は、自分の皮膚にもともと存在する物質や、それに非常に近い物質を真皮に補う方式です。入れた物質がその場で水分を抱え、細胞にシグナルを送り、構造の空いたところを代わりに埋めます。そして自分の寿命が尽きると分解され、吸収されていきます。この過程に異物反応は必要ありません。

非架橋ヒアルロン酸 — 水光注射

ヒアルロン酸は真皮の細胞外マトリックス(ECM)の主要な成分で、もともと私たちの皮膚にある物質です。1gあたり約6Lの水を抱えられる保水力を持つため注入直後から皮膚が潤い、CD44受容体を介して線維芽細胞を刺激し、コラーゲン合成も後押しすると考えられています。ヒアルロニダーゼによって数日から数週のうちに分解されるので、蓄積せず可逆的です。

期待できる変化は、潤いとツヤ、小じわとキメのほうにあります。逆に、顔の輪郭が変わるほどのボリュームの変化は、この方式では生まれません。

PN・PDRN — リジュラン系と再生注射

PNとPDRNはサケなどから抽出したDNA由来の物質で、ヒトのDNAと95%以上構造が似ています。損傷した細胞がDNAをつくり直すときに使う経路を助けて細胞の再生を支え、A2Aアデノシン受容体を活性化して抗炎症・血管新生・創傷治癒を促すと報告されています。線維芽細胞の増殖とコラーゲン合成も併せて刺激します。

ここで表記を一度整理しておきます。リジュラン ヒーラーの成分はPN(ポリヌクレオチド)で、PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)はそれとは区別される別の成分です。この二つの名前はよく混同されますが、同じ言葉ではありません。エイブル皮膚科ではリジュラン ヒーラー・HB+・IとPDRN再生注射を、それぞれ分けて運用しています。

しわの改善効果もある程度観察されるため、文献によってはPNをバイオスティミュレーターのほうに入れることもあります。ただし内因性に近い再生物質であり、異物反応を作用機序として用いないという点から、当院では補充型に分類してご説明しています。

hADM(ECM) — Re2OとCellREDM

hADMは、ヒトの真皮から細胞だけを取り除き、I型・III型コラーゲンの基質だけを残した天然のコラーゲン足場です。化学的に合成した物質ではなく、脱細胞化処理でつくられた材料だという点が要点です。そのため異物巨細胞や肉芽腫をつくる反応ではなく、再生に向かうマクロファージが中心となる反応が起こり、自分の細胞と血管がその中に入り込みながら、時間とともに生きた組織の一部として統合されていきます。

報告されている研究では、注入から数週後より細胞浸潤と血管系の細胞が増え、12週ごろにはかなりの部分がリモデリングされ、真皮の厚みとコラーゲン密度が増加する様子が観察されています。ただしこの数値は研究条件で観察された値であり、個人差があります。

大切なのは、Re2OとCellREDMはコラーゲン刺激剤ではないという点です。線維化で体積をつくる方式ではなく、真皮そのものを厚く戻す構造的な再建に近いため、エイブル皮膚科でもスキンブースターのカテゴリーとして運用しています。ですから劇的なボリュームの変化よりも、薄くなった皮膚の質と厚みを上げるほうに向いています。

HA系ブースター — BELOTERO REVIVEとHILO WAVE

BELOTERO REVIVEは高濃度のヒアルロン酸に保湿成分であるグリセロールを組み合わせた構成で、HILO WAVEは高分子と低分子を併せて用いるDual-HA構成です。どちらも基本成分がヒアルロン酸系なので補充型に属し、水光注射よりも間隔を長めに取って運用します。

エクソソーム

エクソソームは、細胞と細胞のあいだのシグナル伝達、再生、抗炎症作用を中心とする再生系の成分に近いものです。エイブル皮膚科ではシナジェットの針を使わない注入や、塗布の方式で運用しています。製品と製造元によって品質とエビデンスの差が大きいため、それぞれのデータを個別に見ることをおすすめします。

補充型に共通すること

  • 異物反応を作用機序として使いません — 異物巨細胞や肉芽腫の形成が効果の条件ではありません。
  • 蓄積せずに分解されます — 時間が経つと吸収されて消えていく傾向があり、戻す余地が広く残ります。
  • 効果はおおむね3〜6か月 — hADMのように構造を再建するものは、より長く維持されると報告されています。
  • 劇的なボリューム・輪郭の変化はつくりにくいです — これは限界であると同時に、この系統の性格でもあります。

誘導型 — 自分の組織にコラーゲンをつくらせます

誘導型は考え方が逆です。皮膚にもともと存在しない生分解性の合成ポリマーを注入すると、組織はそれを処理すべき対象として認識します。マクロファージが集まり、異物巨細胞が形成され、その過程で線維化とコラーゲン生成が起こります。入れた物質がボリュームをつくるのではなく、その物質を処理する過程で新しくできた自分のコラーゲンがボリュームをつくります。

ですから誘導型では、物質そのものよりも、その物質がどう分解されるかのほうが重要になります。分解の速度、分解産物がつくる局所環境の変化、コラーゲン生成と線維化の強さ、しこりのリスクが、成分ごとにかなり違います。

あわせてお伝えすると、この分野の研究は製造元が行ったものが少なくなく、各製品に有利なデータが出てくる場合もあります。以下の内容は査読を経た文献と独立した研究を優先しつつ、診察で確認される部分を併せて整理したものです。

PLLA — スカルプトラ

PLLAは合成ポリマーで、25〜40マイクロメートルの大きさの粒子がマクロファージを刺激して異物巨細胞を動員し、その過程で線維化とコラーゲン生成を誘導します。分解の過程で乳酸が生成され、局所のpHが7.28から6.4以下まで下がり得ると報告されており、pHが6.4を下回ると細胞の生存率が約50%低下し、炎症性サイトカインが増加することが知られています。強いコラーゲン生成力の裏側に、酸性環境によるリスクが同時にある構造です。

報告されているしこりの発生率は約30.77%とこの系統では高いほうに属し、持続期間は約2〜3年と、誘導型のなかではもっとも長く維持されると報告されています。ただし希釈の濃度、注入する層、施術のパターン、施術後のマッサージによって結果のばらつきが非常に大きい施術です。エイブル皮膚科では6週間隔3回を基本とし、その後は6か月単位で維持を組みます。

PDLLA — ジュベルック ボリューム

PDLLAはPLLAのD型とL型の異性体を混ぜた形です。構造的により非晶質であるため分解がより均一で速いという点が特徴で、そのため不均一に固まって蓄積するリスクは、理論上はPLLAより低いと考えられています。分解産物自体はPLLAと同じ乳酸ですが、実験室データでは比較的中性のpHを保つ結果を示す研究もあります。

ただし長期の臨床データはまだ不足しています。しこりも症例報告のレベルで確認されており、リスクがないと言える段階ではありません。持続期間はおよそ1〜2年程度と推定され、PLLAよりは短くなります。コラーゲン生成力はPLLAより穏やかでCaHAよりは強い、中間の強さと見るのが妥当です。エイブル皮膚科では6週間隔3回で運用し、額や目の下のように脂肪層が薄い部位は施術対象から外しています。

CaHA — レディエッセ

CaHAはもともと骨に存在するカルシウムハイドロキシアパタイトの結晶で、大きさは25〜45マイクロメートル、皮膚にはもともとない物質です。働き方はPLLA系とは少し違います。異物巨細胞は形成されるものの炎症性の反応はほとんどなく、再生型の異物反応に近い形で、機械的刺激とカルシウムイオンを介した線維芽細胞の活性化が中心になります。分解の過程で意味のあるpHの低下も現れません。

臨床でもっとも混同されやすいのが、施術直後のボリュームです。この体積は成分を含んだゲルのキャリアによって生じるもので、コラーゲンではありません。報告によれば約5か月以降に初期体積の65〜96%が失われ、実際のコラーゲンによる持続効果は6〜24か月程度と見るのが現実的です。しこりの発生率は約27.35%と報告されています。

希釈の比率と注入する層によって、輪郭・ボリュームの目的にも、全体的な肌質改善の目的にも使えるため、活用の幅が広い製剤です。エイブル皮膚科では3〜6か月間隔で1〜3回運用し、額や目のまわりのように血管が豊富な部位はとくに注意して扱います。

PDO — ウルトラコル100・ウルトラコル200

PDOは手術用の縫合糸として長く使われてきた生分解性の合成ポリマーです。分解しきるまで約6か月ほどと、この記事で扱う成分のなかではもっとも速く、分解産物による局所のpH低下は起こり得るものの、PLLAのようにはっきり下がるパターンではありません。コラーゲン生成は初期の2〜3か月までは比較的はっきりしていて、その後は減っていくため、長期の蓄積効果はPLLA・PDLLAやCaHAより弱めです。しこりはまれに報告される程度です。

エイブル皮膚科では、同じPDOを濃度と目的で分けて運用しています。ウルトラコル100は毛穴・キメ・小じわを目的として機械注入のみで行うスキンブースターのカテゴリー、ウルトラコル200は高濃度でへこんだ部位のボリュームを補うコラーゲンブースターのカテゴリーです。どちらも4週間隔3回を基本とします。成分名が同じだからといって同じ施術ではない、という代表的な例です。

液状PCL — GOURI

GOURIはポリカプロラクトンを溶かしきった粒子のない液状の形のコラーゲン刺激剤です。微粒子をゲルに混ぜた粒子型PCLフィラーとは、構造も働き方も違います。参考までに、エイブル皮膚科は粒子型PCLフィラーは扱っていません。

微粒子がないため皮膚の中で比較的均一に広がり、一か所を局所的に持ち上げる方式というより、顔全体の厚み・ハリ・小じわをゆるやかに改善する性格に近い製剤です。分解産物である6-ヒドロキシカプロン酸がクエン酸回路にそのまま入るため、理論上、意味のあるpHの低下も少ないと考えられます。体感される維持期間は6〜12か月程度と報告されることが多く、強いしこりの報告はまれなほうです。

ただし内出血が起きると回復までにかなり時間がかかることがあるため、施術前に十分にご説明しています。エイブル皮膚科では3〜6か月間隔で1〜3回運用し、デンシティ アルファチップの高周波と組み合わせる構成でも使用します。

誘導型に共通すること

  • 異物反応が効果の条件です — 反応を抑えれば効果も下がる構造なので、リスクと効果を切り離して考えることはできません。
  • 効果が現れるのが遅いです — 組織がコラーゲンをつくるのにかかる時間が、そのまま待ち時間になります。
  • 長く維持される代わりに戻しにくいです — 一度できた線維化を元どおりにするのは簡単ではありません。
  • しこり・硬さが出る可能性があります — 成分と施術の設計によって程度が変わり、個人差があります。

製品ごとの成分分類を一覧で

エイブル皮膚科で運用している注入製品を、成分分類と作用のしくみを基準に整理すると次のようになります。名前ではなく、この表の二列目・三列目をご覧になるほうが、実際の判断には役立ちます。

製品成分分類作用のしくみ運用カテゴリー
水光注射非架橋HA補充型スキンブースター
BELOTERO REVIVEHA+グリセロール補充型スキンブースター
HILO WAVEDual-HA補充型スキンブースター
リジュラン ヒーラー・HB+・IPN(ポリヌクレオチド)補充型スキンブースター
PDRN再生注射PDRN補充型スキンブースター
Re2OhADM(ECM)補充型 — 真皮の再建スキンブースター
CellREDMhADM(ECM)補充型 — 真皮の再建スキンブースター
エクソソーム細胞間のシグナル伝達物質補充型スキンブースター
ジュベルックスキンPDLLA+HA誘導型 — キメ・保湿が目的スキンブースター
ウルトラコル100PDO誘導型 — キメ・毛穴が目的スキンブースター
スカルプトラPLLA誘導型コラーゲンブースター
ジュベルック ボリュームPDLLA誘導型コラーゲンブースター
レディエッセCaHA誘導型+キャリアによる即時の体積コラーゲンブースター
ウルトラコル200PDO 高濃度誘導型コラーゲンブースター
GOURI液状PCL誘導型 — 拡散型コラーゲンブースター
HAフィラー架橋HA充填型フィラー

この表でよく取り違えられる三つのこと

  • 名前に「ブースター」が付いていても同じカテゴリーではありません — 水光注射とスカルプトラは同じ名前で呼ばれることがあっても、作用のしくみは反対に近いものです。
  • 同じ成分でも濃度と目的によってカテゴリーが変わります — ウルトラコル100とウルトラコル200、ジュベルックスキンとジュベルック ボリュームがその例です。成分表だけを見て同じ施術と判断すると、回数と期待値がずれてしまいます。
  • hADMはどちらのカテゴリーにも正確には収まりません — Re2OとCellREDMは補充型に属しますが、潤いやツヤを上げる一般的なスキンブースターとも目的が違います。真皮の厚みと構造を戻す別の位置にあるものとご覧になるほうが正確です。

効果が現れる時間軸が違います

二つのカテゴリーの違いが患者さんにもっとも早く体感される場面が、ここです。同じ「注射の施術」なのに、あるものは翌日から違って見え、あるものは二か月経っても変化がよく分からないとおっしゃいます。どちらも正常です。

補充型の時間軸

入れた物質がそのまま効果の主体になるので、注入した瞬間から働きが始まります。ヒアルロン酸系は水分を引き寄せる作用がすぐに起こるため翌日からキメの違いを感じる方が多く、PNやhADMのように再生と再建を中心とする成分は組織が反応する時間が必要で、通常は2〜4週かけて変化が積み上がります。維持期間はおおむね3〜6か月で、hADMは統合とリモデリングに数週から数か月かかる代わりに、より長く維持されると報告されています。

誘導型の時間軸

誘導型は入れた物質が結果をつくるのではなく、組織がつくり出したコラーゲンが結果をつくります。マクロファージが粒子を認識し、反応が進み、コラーゲンが積み上がって目に見える体積になるまでには時間が必要です。ですから通常は4〜12週以降から変化が現れ、回数を重ねるほど積み上がっていきます。維持期間は成分によって6か月前後から2〜3年まで幅があります。

例外のように見えるのがCaHAです。施術直後は体積がはっきり見えますが、これはゲルのキャリアによるもので、数か月かけてかなりの部分が抜けたあとに残るものがコラーゲン反応の結果です。直後の状態は最終結果ではなくスタートラインだとお考えになるほうが、落胆が少なくなります。

そこから生まれる二つの誤解

  • 「1か月経ったのに何も変わりません」 — 誘導型では失敗ではなく、想定内の期間である場合があります。判断は通常、回数を終えてから数週さらに経ったあとに行うことになります。
  • 「直後はぐっと良くなったのにすぐ戻りました」 — キャリアやむくみによる初期の体積を最終結果としてご覧になったときに、よく起こる経験です。施術前に、どの時点の状態を基準に見るかを一緒に決めておくと、このずれが小さくなります。

回数設計が分かれる理由

「なぜある施術は2週間隔で、ある施術は6週間隔なのですか」という質問をよくいただきます。間隔を決める論理そのものが、二つのカテゴリーで違うからです。

補充型 — 分解される分を補う周期

補充型は、入れた物質が時間とともに分解されて消えていきます。ですから間隔を決める基準はその物質がどれだけ速く消費されるかです。初期は短い間隔で複数回補って土台を上げ、その後は定期的に維持します。エイブル皮膚科の基準では、水光注射は2〜3週間隔で3〜5回、リジュラン系とhADMシリーズは4週間隔で3〜5回、BELOTERO REVIVEとHILO WAVEは3〜6か月間隔で3〜5回運用しています。

この構造では調整の余地が広くあります。足りなければ次の回に多めに入れればよく、多少入れすぎても時間が経てば分解されます。

誘導型 — 組織の反応が積み上がる時間を置く間隔

誘導型は、入れた物質が消えることが問題なのではなく、その物質に対する反応がまだ進行中であることが問題になります。反応が終わる前に同じ場所へもう一度入れると物質が重なって蓄積し、不均一な蓄積はしこりにつながることがあります。ですから間隔は、組織が反応を終える時間を基準に取ります。スカルプトラとジュベルック ボリュームは6週間隔3回、ウルトラコル200は4週間隔3回、レディエッセとGOURIは3〜6か月間隔で1〜3回運用しています。

誘導型で回数を分けるのは、一度に入れられないからではなく、一度に入れないほうが安全だからです。入れた物質は取り出しにくいのに対し、足りない反応は次の回に足すことができます。ですから診察では、おおむね控えめに設計して反応を確認したうえで、足すかどうかを決めます。

二つのカテゴリーを一緒に計画するとき

二つを同じ時期に進める場合も少なくありません。そのときは同じ部位にまとめて入れるのではなく、深さを分けて配置したり、時期を分けたりします。エイブル皮膚科のレイヤードブースターは、GOURIとRe2O、スキンボトックスを深さごとに分けて注入する構成で運用しています。どの組み合わせが合うかは、肌の状態と目標によって変わります。

戻せるかどうか — 可逆性という非対称

二つのカテゴリーを比べるとき、持続期間だけを見れば誘導型が有利に見えます。しかし長く続くという言葉は、気に入っているときも長く、気に入らないときも長いという意味です。

  • 架橋HAフィラー — ヒアルロニダーゼで分解することができます。必要な場合に備えて、エイブル皮膚科もヒアルロニダーゼを備えています。
  • 補充型 — 別の処置をしなくても分解・吸収され、蓄積しない傾向があります。結果が気に入らなくても、時間が解決する方向にあります。
  • 誘導型 — できあがった線維化を戻すのは簡単ではありません。しこりができた場合はステロイド注射、必要に応じた小切開、高周波を用いた処置、長期の経過観察などを試みることになり、製品によってはうまく改善しない場合もあります。

ですから誘導型をご相談いただくときは、「どれだけ良くなり得るか」と「うまくいかなかったときにどう戻すか」を同じ重さに置いてご説明します。この二つをどちらも理解されたうえで決めていただくことが大切です。

部位と状態による制限

誘導型は、どこにでも同じやり方で使える施術ではありません。ジュベルック ボリュームは額や目の下のように脂肪層が薄い部位を施術対象から外し、レディエッセは額や目のまわりのように血管が豊富な部位で細やかな注意が必要です。GOURIは内出血が起きたときに回復が長引くことがあるため、部位を決める際にその点も併せて考えます。

施術前には妊娠・授乳の有無、自己免疫疾患、活動性の皮膚感染、最近のイソトレチノイン内服の有無、成分アレルギーの既往を確認します。施術後は24時間は強い摩擦と圧迫を避け、1週間はサウナ・岩盤浴・激しい運動・飲酒を避けていただくことが共通の原則です。

どんな状態のとき、どちらが先なのか

「どちらも良いと聞きますが、何から始めればよいですか」というご質問には、いま必要な変化が補充なのか誘導なのかでお答えすることになります。

補充型を先に置く場合

肌が乾燥してキメが粗く、小じわが気になる一方で、輪郭そのものは大きく変わっていない状態であれば、誘導型が扱う問題はまだ多くありません。真皮が薄くなっていたり、施術を繰り返したあとに萎縮がある状態でも、まず土台を上げるほうが自然です。反応を受け止める組織の余力が足りない状態で誘導型を先に入れると、結果が均一に出なかったり、しこりが長く残ったりすることがあります。

誘導型を先に置く場合

実際にボリュームが減って、ほうれい線・マリオネットライン・フェイスラインといった輪郭が変わっている状態であれば、補充型を繰り返すだけでは望む変化に届きにくくなります。キメとツヤは良くなるのに、へこみと下がった線はそのままで満足度が上がらない、という典型的な場合です。このときは誘導型で構造を扱い、その結果が落ち着くあいだに補充型で質も併せて上げていく順序が合うことが多くあります。

注入ではなくエネルギーが先の場合

たるみの原因がボリュームロスではなく組織のゆるみに近いのであれば、補ったり誘導したりするアプローチよりも、いまある組織を引き締めるアプローチが先になることがあります。エイブル皮膚科では、高密度焦点式超音波のウルセラプライム、順次照射の高周波であるデンシティ系、マイクロ波のオンダ、圧電式体外衝撃波のオレウェーブを併せて運用しています。注入とエネルギーは互いの代わりにはならず、扱う問題が違います。

ただし実際の順序は、望む効果よりもいまの組織の状態から決まります。同じ年代でも、真皮の厚み、脂肪層の分布、肌の敏感さが違えば、同じ目標に対して違う順序が出てきます。ですからこの判断は文章であらかじめ決められる種類のものではなく、診察で直接確認したうえで一緒に決めるのが適しています。

診察から施術まで

皮膚科専門医が直接診察して原因となっている層を確認し、機器とパラメータを決めたうえで同じ専門医が施術まで続けて行います。カウンセラーが施術を勧める仕組みではありません。

回数・間隔・維持の時期・費用は、初回の施術前に一緒に決めます。

よくあるご質問

持続期間が長いほうが良い施術ではないのですか?
長く続くということは、気に入っているときも長く、気に入らないときも長いという意味です。補充型は3〜6か月ほどと短い代わりに、蓄積せず分解されるので調整の余地が広くあります。誘導型は1〜3年まで維持される代わりに、途中で戻すことが難しくなります。持続期間は優劣ではなく性格の違いとして捉え、いま必要な変化がどちらなのかで判断されるほうがよいと思います。
フィラーとは何が違うのですか?
フィラーは架橋処理したヒアルロン酸で体積を直接補う「充填型」です。入れた場所に入れた分だけ即座に体積が生まれ、必要であればヒアルロニダーゼで分解して戻すことができます。一方コラーゲン刺激剤は、入れた物質ではなく、そのあとにできたコラーゲンが体積をつくるもので、一度できた線維化を元に戻すのは簡単ではありません。即効性と可逆性の点で方向が反対です。
回数を最後まで受けないと効果はないのでしょうか?
効果がないというより、計画していた総量に届かない状態になります。補充型は分解される物質を定期的に補う構造なので、途中でやめると徐々に元に戻っていく傾向があります。誘導型は複数回にわたって反応を積み上げる構造なので、回数が足りないと変化の幅が小さいところで終わります。いずれの場合も、残りの回数をいつ続けるかは状態を見て改めて決められます。
スキンブースターとコラーゲン刺激剤を一緒に受けてもよいですか?
一緒に計画することは少なくありません。扱う層と目的が違い、互いの代わりにはならないからです。ただし同じ日に一か所へまとめて入れるよりも、深さを分けて配置したり、時期を分けたりするほうが、回復にも結果にも有利な場合が多くあります。順序と間隔は肌の状態によって変わりますので、診察で一緒に決めます。
Re2OやCellREDMもコラーゲン刺激剤ですか?
いいえ。この二つの製品の成分はhADM(ECM)で、ヒトの真皮から細胞だけを取り除き、コラーゲンの基質だけを残した材料です。合成ポリマーではないため異物反応を必須の作用機序として用いず、線維化で体積をつくるのではなく、真皮そのものの厚みと構造を戻す方向に働きます。エイブル皮膚科でもコラーゲンブースターではなく、スキンブースターのカテゴリーとして運用しています。
しこり(結節)ができたらどうなりますか?
触れて分かる硬さや、凹凸のある触感が残ることがあり、場所によっては違和感が強くなることもあります。対応としてはステロイド注射、必要に応じた小切開、高周波を用いた処置、長期の経過観察などが用いられますが、製品によってはうまく改善しない場合もあります。そのため誘導型の施術は、始める前にこの可能性も含めてご説明し、同意をいただいたうえで進めます。
レディエッセは施術直後からボリュームが出ましたが、それはコラーゲンですか?
いいえ。直後に見える体積は、成分を含んでいるゲル状のキャリアによるものです。研究報告では、この初期の体積は数か月かけてかなりの部分が減っていき、そのあとに残るものがコラーゲン反応による変化とされています。施術直後の状態を最終結果と考えてしまうと、数か月後にがっかりされやすくなります。
コラーゲン刺激剤は、なぜ効果が現れるのが遅いのですか?
入れた物質そのものがボリュームをつくるのではなく、その物質を組織が処理する過程で新しくできたコラーゲンが結果をつくるからです。マクロファージが粒子を認識し、反応が進み、コラーゲンが蓄積するまでに時間が必要なので、通常は4〜12週以降から変化が見えてくる傾向があります。1か月ほど経って変化が小さいと感じるのは想定内の期間であることが多く、個人差もあります。
リジュランはPDRNですか、PNですか?
リジュラン ヒーラーの成分はPN(ポリヌクレオチド)です。PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)と名前が似ているため混同されやすいのですが、同じ物質を指す言葉ではありません。エイブル皮膚科ではリジュラン系とPDRN再生注射をそれぞれ別に運用しています。どちらも補充型に属し、異物反応を作用機序として用いない点は共通しています。
スキンブースターも結局はコラーゲンブースターではないのですか?
広告ではこの二つの名前がほとんど区別なく使われています。ただし、皮膚の中で起きていることは違います。スキンブースターはもともと自分の皮膚にあった成分やそれに近い物質を補い、その物質自体が水分保持と再生を担うタイプです。コラーゲン刺激剤はもともと存在しない合成ポリマーを入れ、組織がそれを処理する過程でコラーゲンをつくらせるタイプです。期待できる変化も、受け入れる必要のあるリスクも異なるため、分けて考えたほうが正確です。
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