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ウルセラの原理まとめ — MFU・HIFUの違いからチップ別の深さ・DeepSEEまで

ウルセラのカウンセリングで最も多くいただくご質問は、「家庭で使うホームケア機器もウルセラと原理が同じだと聞きましたが、何が違うのですか?」というものです。次に多いのが「1.5mm・3.0mm・4.5mmとは何を意味するのですか?」「画面を見ながら照射することが、なぜ重要なのですか?」というご質問です。この3つの答えは、いずれも同じところから出てきます。ウルセラが皮膚の内部の特定の深さに微細な熱凝固点をどのようにつくるのかを理解すると、残りは自然に整理されます。

3行まとめ

  • ウルセラは超音波を虫めがねのように一点に集めて、60〜70℃の微細な熱凝固点(TCP)をつくる機器です。真皮を広く温める高周波の方式とは、作動原理そのものが異なります。
  • チップ(トランスデューサー)の周波数が焦点の深さを決めます。ただしSMASや真皮の実際の深さは方によって、また部位によって異なるため、チップに記された数字だけでは目標の層を狙うことが難しくなります。そのためDeepSEEのリアルタイム超音波画像で層を確認してから照射します。
  • 家庭用HIFU機器(いわゆるホームウルセラ)は周波数・出力・画像機能の有無が根本的に異なり、同じ形のSMASリフトアップを期待することは難しくなります。エイブル皮膚科ではウルセラプライム(Ulthera Prime, Merz)を使用しています。

HIFU・MFU・MFU-V — 同じ言葉ではありません

ウルセラをご説明する場で、まず整理しておきたいのが用語です。広告の表現ではHIFUとウルセラがほぼ同じ言葉のように使われますが、実際には包含関係のある3つの言葉です。この区別をしておくと、この後に出てくるチップ・深さ・家庭用機器の話がずっと分かりやすくなります。

  • HIFU(高密度焦点式超音波) — 超音波エネルギーを一点に集める技術全体を指す大きなカテゴリーです。医療の領域では美容目的だけでなく、腫瘍の治療といった分野でも用いられる広い概念です。
  • MFU(マイクロ集束超音波) — HIFUの中でも1mm³未満のごく小さな熱凝固点をつくる精密な技術を指します。組織に残す変化の大きさが小さいという点が要になります。
  • MFU-V(画像機能が加わったMFU) — MFUにリアルタイム超音波画像の機能が組み合わされたものです。ウルセラがこれに当たり、VはVisualization、つまり見ながら行うという意味です。

ウルセラ(Ultherapy)は2009年にFDAの承認を受けたMFU-V機器で、非外科的な方法の中ではSMAS層(表在性筋腱膜系)を直接狙うことができる数少ない施術として知られています。ここで大切なのは承認の年や名前ではなく、精密な熱凝固点をつくる技術(MFU)その凝固点をどこにつくるのかを目で確認する機能(V)が一台の機器に揃っているという点です。

高周波系とは作動の仕方が異なります

同じリフトアップという名前でまとめられますが、エネルギーの伝え方は系統ごとに異なります。エイブル皮膚科のデンシティのような高周波(RF)機器は真皮全体を広く温めてコラーゲンの再構築を促す方式で、ウルセラはエネルギーを一点に集めて特定の深さにだけ点の単位で変化をつくる方式です。広く温めるのか、狭く打つのかの違いとご理解ください。

この違いから、2つの系統は得意とするところが異なります。広く温める方式は表面のキメや真皮全体の弾力で強みがあり、一点に集める方式は深い支持層を選択的に狙えるという点が強みです。どちらが優れているかというより、たるみがどの層から生じているのかによって選択が分かれる問題です。

この区別が実際に大切な理由

ある機器をMFUと呼ぶためには、少なくとも3つが確認される必要があります。人の皮膚で実際に熱凝固点がつくられるか、その大きさが1mm³ほどに小さいか、そしてその地点の温度がコラーゲンが変性する領域まで上がるかです。この3つが組織学的に確認されないまま、集束超音波を使っているという理由だけで同じ技術と呼ぶことは、カテゴリーを広く取った表現に近いと言えます。

後ほど扱う家庭用機器の話も、結局はこの地点に戻ってきます。超音波を集めるという事実だけでは同じ施術にはならず、どの大きさの熱凝固点をどの深さにつくるのかが実際の違いを生みます。

微細な熱凝固点(TCP)はどのようにつくられるのか

ウルセラの施術を行うと、皮膚の内部に微細な熱凝固点(Thermal Coagulation Point, TCP)ができます。表面には傷もかさぶたも残らないのに内部だけで変化が起こる、というご説明がなかなかピンとこないという方が多いので、まずこの部分からご説明します。

虫めがねと同じ仕組みです

虫めがねで日光を集める場面を思い浮かべていただくと分かりやすいと思います。レンズを通過する区間の空気は熱くありませんが、光が一点に集まる焦点では紙が焦げるほど温度が上がります。ウルセラの集束超音波も同じ仕組みです。超音波が通過する表皮や真皮の浅い層ではエネルギー密度が低く組織が保たれ、焦点に到達した瞬間にだけエネルギーが熱に変わり、温度が急激に上がります。

このとき焦点の地点は短い時間で60〜70℃に達します。この温度は偶然決まった数字ではなく、コラーゲンが変性し、収縮し始める臨界点です。そして焦点から少しでも外れると温度が急激に下がるため、周囲の組織は相対的に保護されます。ごく狭い空間にだけ、タンパク質を変性させるだけのエネルギーが集中する構造です。

深さは周波数が決めます

超音波は周波数が高いほど波長が短く、浅いところでエネルギーを使い切り周波数が低いほど波長が長く、より深くまで届きます。ウルセラはおよそ4〜10MHzの範囲をチップごとに分けて使っており、この周波数の違いが、そのまま焦点が結ばれる深さの違いになります。チップを替えるということは、実質的に周波数を替えて焦点距離を調整するという意味です。

TIZからTCPへ — 用語が変わった理由

初期の研究では、現在使われているTCPではなく熱損傷帯(Thermal Injury Zone, TIZ)という用語が使われていました。4.5mmチップで照射した後に組織を確認したところ、一つの点ではなくSMASから上方へ続く熱の柱のような形で変化が現れ、3.0mmチップでも目標の深さから上方に逆円錐状の凝固が確認されたためです。

この研究結果は、現在も「どうせ画面に見えるその位置に正確に入らないのだから、見ながら行う理由はない」という主張の根拠として引用されることがあります。ところが当時の研究は2.3〜8.0Jという高いエネルギーで行われたもので、実際の臨床で使用するエネルギーはそれよりはるかに低い設定です。低いエネルギー(1.2J以下)を用いたその後の研究では、周囲の組織を損なうことなく肉眼で確認できる熱の柱ではなく、微細な熱凝固点だけが形成されることが確認されています。

整理すると、現在の臨床条件では目標とした深さに小さな熱凝固点がつくられると考えるほうが正確であり、そのためどの深さを狙うのかが、むしろ一層重要になります。凝固点が小さく正確であるほど、その点を意図しない層につくってしまったときの損失もはっきりするからです。

小さな点がなぜ変化を生むのか

熱凝固点ひとつの大きさが1mm³にも満たないのであれば、それほど小さな変化でどうしてたるみが変わるのか、というご質問が自然に続きます。実際の研究では凝固点そのものは微細であっても、その周囲の組織で意味のある変化が併せて確認されています。一つの点が顔を変えるのではなく、一定の間隔と方向で配列された多数の点が集まって層全体の張力を変える構造です。

そのためウルセラは、一発の強さよりも、点をどの深さにどのような配列で残すのかが結果を左右する施術に近いと言えます。ごく狭い空間にコラーゲンを変性させるだけのエネルギーが集まるという条件と、その点が目標の層に置かれるという条件が同時に満たされて初めて、意図した変化が現れます。

チップ(トランスデューサー)別の深さ — 1.5mm・3.0mm・4.5mm

ウルセラのチップはそれぞれ異なる周波数を使い、それに応じて焦点が結ばれる深さと狙う組織が変わります。チップの名前についた数字はブランドの等級ではなく、焦点距離をミリメートルで表したものです。

1.5mmチップ — 真皮浅層

およそ10MHzを使用し、乳頭層と網状層の上部を狙います。この層には微小血管、神経終末、III型コラーゲン、エラスチン線維、線維芽細胞が分布しています。目もと・額・口もとの浅い小じわ、キメや毛穴といった肌質の領域、そして首やデコルテのように皮膚の薄い部位で主に活用されます。

3.0mmチップ — 真皮深層と境界層

およそ7〜8MHzを使用し、網状層の上部から真皮と皮下脂肪の境界までを狙います。太いI型コラーゲン、エラスチン、脂肪小葉の上部、線維中隔(fibrous septae)がある層です。顔と首の全体的な弾力、頬のたるみやフェイスラインの整理のように中等度のゆるみを扱うときに積極的に使われます。

4.5mmチップ — SMAS層

およそ4MHzを使用し、SMAS層と深部の皮下脂肪を狙います。SMASは表情筋を包む線維性の筋膜構造で、たるみを支える支持構造の役割を担う層です。中等度以上の頬のたるみやフェイスラインのゆるみ、首のたるみのように構造的なリフトアップが目標のときに使用します。SMASが4.5mm付近にあるときに適切に照射すれば、表皮・真皮・脂肪層を保ったまま目標の層だけを刺激できるという研究結果が報告されています。

区分1.5mm(約10MHz)3.0mm(約7〜8MHz)4.5mm(約4MHz)
狙う層真皮浅層真皮深層〜境界層SMAS層・深部脂肪
主に扱う変化キメ・毛穴・浅い小じわ弾力・肌の厚み感構造的なリフトアップ
リフトアップへの寄与低い中等度大きい
施術中の体感刺激弱いほう中等度相対的に大きい
層の確認の必要性推奨必要必ず必要

部位によって選択が変わります

チップの選択は、扱おうとする変化がどの部位にあるのかによっても変わります。同じ顔の中でも、層の構造と目標が異なるためです。

  • 下顔面とあごの下 — フェイスラインがぼやけ、頬が下がってくる状態が主なお悩みであれば、SMASを扱う深い層が中心になります。
  • 中顔面(前頬・こめかみ周辺) — 頬のたるみとゆるみを併せて扱うため、真皮深層とSMASを分けてアプローチします。
  • 首とデコルテ — 皮膚が薄く、下の構造も異なるため、深さの選択をより慎重に設定します。
  • 目もと・額・口もとの浅い小じわとキメ — 深い層ではなく、真皮浅層を扱う領域です。

実際の施術では一つのチップだけを使うより、層を分けて組み合わせます3.0mmと4.5mmを併用する2層の施術が最も一般的で、4.5mm単独よりも改善の程度が良かったという研究結果が根拠として示されています。肌質まで併せて扱う必要があれば、1.5mmを加えて3層で構成することもあります。

エイブル皮膚科のウルセラプライムは、たるみの改善を主な目標として4.5mmと3.0mmのチップを中心に運用しています。ただし、どの組み合わせをどの部位に使うのかは、チップの数字だけでは決まりません。その理由が次の項目です。

同じ4.5mmでも、方によって届く層が異なります

ここまでを見ると、1.5mmは真皮浅層、3.0mmは真皮深層、4.5mmはSMASときれいに決まっているように見えます。本当にそうであれば、わざわざ画面を見る理由もないはずです。ところが実際の方の顔は、それほど均一ではありません。

顔は区域ごとに厚みが違います

皮膚の厚みは顔の区域によって異なり、性別や年齢によっても変わることが複数の研究で確認されてきました。これに加えて皮下脂肪の厚みも区域ごとに異なり、結果としてSMASが位置する深さも、方によって、部位によって変わります。こめかみ周辺、前頬、フェイスライン、首は、そもそも層の構成と厚みが互いに異なる構造物です。

だからチップの数字は約束ではなく座標です

チップに記された4.5mmは焦点が結ばれる距離を意味するだけで、その深さにSMASが位置しているという意味ではありません。同じ4.5mmチップを使っても、SMASが浅い方では目標より深い層に、SMASが深い方では目標に届かない層に熱凝固点がつくられることがあります。

  • SMASが浅い場合 — 焦点が目標の層を通り過ぎ、より深い構造まで届くことがあります。
  • SMASが適切な深さの場合 — 意図した層に熱凝固点が形成され、収縮が目標どおりに起こります。
  • 脂肪が厚くSMASが深い場合 — 焦点がSMASに届かず、脂肪層の途中にとどまることがあります。

特にこの差は皮膚の薄い方皮下脂肪の厚い方で大きく開きます。皮膚が薄いと同じ深さを狙っても目標の層を通り過ぎやすく、脂肪が厚いと反対に目標の層に届きにくくなります。年齢とともに層の厚みが変わるという点まで考え合わせると、数年前に同じ部位で同じ施術を受けていても、今回の適切な深さは変わっている可能性があります

この3つが、同じ機器・同じチップ・同じエネルギーでも結果が変わる理由です。ウルセラの原理を理解するということは、結局機器がつくる熱凝固点の深さその方の顔で目標の層が実際に位置する深さを合わせる作業だという意味になります。その擦り合わせを可能にする機能がDeepSEEです。

DeepSEE — 見ながら照射するということ

DeepSEEはウルセラに搭載されたリアルタイム超音波画像の機能です。チップを肌に当てたその場で下の組織の断面が画面に映し出され、表皮・真皮・皮下脂肪・SMASが互いに異なる明るさの層として区別して見えます。MFU-VのVが指しているのが、まさにこの機能です。

画面には何が見えるのですか

超音波画像というと馴染みがないように感じますが、画面に映るものは単純です。組織ごとに超音波を跳ね返す程度が異なるため、層が互いに異なる明るさの帯として区別されて現れます

  • 表皮と真皮 — 最も上の、比較的明るく密な帯として見えます。
  • 皮下脂肪 — その下の暗く粗い区域で、厚みが方によって大きく異なります。
  • SMAS — 脂肪層の下に横方向へ続く鮮明な帯として確認され、この帯が何ミリの深さにあるかがチップ選択の基準になります。

患者さんへのご説明の仕方

診察室ではこのようにお伝えしています。同じ銃でも、照準器を見て撃つのと、おおよその方向だけを定めて撃つのとでは違います。ウルセラで照準器に当たるのがDeepSEEです。照射ボタンを押す前に、その場所のSMASが何ミリの深さにあるのかを目で確認し、その深さに合うチップと照射位置を決めてからエネルギーを送ります。照射の順序が確認 → 選択 → 照射になるわけです。

確認しないと何が起こるのか

先ほどの3つの場合を、4.5mmチップ一つだけで施術すると仮定してみます。

  • SMASが3.8mmと浅い方 — 4.5mmの焦点がSMASを通り過ぎ、より深い構造に届くことがあります。意図した収縮ではなく、望まない刺激になりかねません。
  • SMASが4.3mmの方 — 焦点がSMASをわずかに越える位置に結ばれ、意図したとおりに収縮が起こります。
  • 脂肪が厚くSMASが5.2mmの方 — 焦点がSMASに届かず期待したリフトアップが出にくいうえ、熱凝固点が脂肪層の中ほどにつくられ、局所的なへこみにつながることがあります。

3人とも同じ施術を受けていますが、意図どおりになるのはそのうちの一部です。確認せずに照射すると、効果が出にくい問題と望まない反応の問題が同時に大きくなります。特に3.0mmや4.5mmのように深い層を扱うチップで、この差がはっきりします。

見ながら行うと時間がかかりませんか

画面を確認しながら進めると時間が余計にかかる、というご指摘があります。実際に確認の工程が入りますので、全体の時間が少し長くなるのは事実です。ただし層の深さは部位ごとに大きく変わるわけではないため、区域を移るたびに確認する進め方であれば施術時間が大きく延びることはありません。時間を節約するために確認を省くと、先ほどの3つの場合のどれに当たるのか分からないまま施術することになります。

エイブル皮膚科が使用する機器 — ウルセラプライム

エイブル皮膚科ではウルセラプライム(Ulthera Prime, Merz)を使用しています。従来のウルセラと同じメーカーの次世代モデルで、2025年に韓国国内へ導入されました。原理編をここまでお読みいただいた方であれば、この機器で何が変わったのかも自然にご理解いただけると思います。改善の焦点が照射する側ではなく、確認する側にあるためです。

変わった部分

  • 超音波画像の観察範囲 — 従来のモデルが約4.5mmの深さまで確認できたのに対し、ウルセラプライムは約8mmの深さまで画像で確認できます。照射の深さが深くなったのではなく、見える範囲が広がったということです。
  • 画面の大きさと鮮明さ — 画面が大きくなり画像が鮮明になったことで、層の境界を見分けやすくなりました。
  • 施術のスピード — 処理速度が改善され、同じショット数をより短い時間で進められます。
  • 音と刺激 — 以前のモデルに比べ、施術中の音と体感刺激が軽減されたと報告されています。

変わっていない部分

反対にそのままの部分もはっきりしています。照射できる最大の深さは変わらず4.5mmで、ハンドピースと照射の原理、効果が現れる機序も同じです。つまりプライムだからといって新しい層を扱えるようになったとか、まったく違う働き方をするというわけではありません。

そのため当院では、ウルセラプライムを効果の種類が変わった機器ではなく、確認の精度と施術の一貫性が上がった機器としてご説明しています。これまで見てきたように、ウルセラの結果を分ける最も大きな変数が目標の層の深さを正確に把握できたかであるなら、より深く鮮明に見えるという改善は、その変数に直接働きます。皮膚が厚い方や層の構造が読み取りにくい部位で特に役立つ方向であり、ただし個人差があります。

家庭用HIFU機器(いわゆるホームウルセラ)と何が違うのか

近年、家庭で使用するHIFU機器が増え、「ウルセラと同じ原理」「4.5mmチップ」「SMAS層をターゲット」といった説明を目にする機会が多くなりました。実際に診察室でもよくいただくご質問です。ここまで整理した原理を基準に見ると、違いは3つの層で現れます。特定の製品の問題ではなく、機器のカテゴリーそのものの物理的な条件に関するお話です。

1) カテゴリーが違います — HIFUとMFU

家庭用機器の多くは、広い意味でのHIFUに当たります。先ほど整理したとおり、MFUと呼ぶためには人の皮膚で1mm³ほどの熱凝固点が実際につくられ、温度が変性する領域まで上がるという組織学的な根拠が必要ですが、家庭用機器ではその根拠が示されていない場合が少なくありません。透明なプラスチック板に照射して白い点ができることを凝固点の証拠として見せる例がありますが、プラスチックと人の皮膚は熱への反応の仕方が異なる素材ですので、同じ現象と見ることは難しくなります。

2) 周波数と深さが合っていません

超音波は周波数が高いほど浅く、低いほど深く入ります。ウルセラで4.5mmのSMASを狙うトランスデューサーは約4MHzを使い、約7MHzは3.0mmチップが担当します。ところが、4.5mmのSMAS到達を説明する家庭用製品の相当数が7MHz帯を使用しています。物理的に7MHzは3mm付近の深さに対応する周波数ですので、同じ周波数で4.5mmの層を狙うという説明は、超音波の性質と合いません。

3) 機器の分類と出力の構造的な制約

ウルセラは焦点が実際に60〜70℃に達する機器であり、それだけ誤った使い方をすると問題が起こりうるため、医療機器に分類され、医療者が施術します。一方、家庭用機器は美容機器に分類され、家庭でご自身で使えるように設計されます。ここから構造的な制約が生まれます。

  • 本当にウルセラのように60〜70℃まで上がるのであれば — 効果は期待できるかもしれませんが、その時点ですでに、家庭でご自身で扱うには慎重を要する水準の熱になります。
  • 家庭で気軽に使える程度に出力が低いのであれば — コラーゲンが変性する温度域に届かず、熱凝固点がつくられない可能性が高くなります。

そのため「家でも同じ水準の効果を、しかも負担なく」という説明は、2つの条件を同時に満たすことが難しい構造です。これに加えて家庭用機器には層を確認する画像の機能がないため、先ほど見た方ごとに異なる深さの問題に対処する方法そのものがありません。

頻繁に長く使えば積み重なりませんか

最も多くいただくご質問です。積み重ねで埋めることが難しい理由は2つあります。第一に、変化が始まる温度の閾値に届かなければ、回数を増やしても同じ種類の変化は積み重なりません。第二に、届く深さそのものが違えば、狙う層も変わります。3mm付近に作用する機器をいくら繰り返しても、4.5mmのSMASを扱ったことと同じにはなりません。

このご説明は、家庭用機器を使わないでくださいという意味ではありません。家庭用機器に期待できるのは短く続く温熱刺激程度の引き締まり感に近く、ウルセラが狙う方向性を持ったSMASのリフトアップとは目的が異なる道具だという意味です。この区別をしておくと、どちらを選ばれても、期待と結果の間の隔たりが小さくなります。

方向性(ベクター)と効果が現れる順序

最後に、つくられた熱凝固点がどのようにたるみの改善につながるのかを整理します。この部分は、ウルセラを他のエネルギー機器と分けるところでもあります。

リフトアップとタイトニングは別の言葉です

よくリフトアップという一語でまとめて使われますが、2つの概念は区別されます。タイトニングはゆるんだ肌を顔によりぴったりと沿わせる変化で、リフトアップは下がった構造物を方向性を持って上に引き上げる変化です。高周波やマイクロ波のように広く温める方式は、原理上タイトニングにより近いものです。

ベクターリフト — 熱凝固点を配列する方向

ウルセラは熱凝固点をどの方向に配列するかによって、収縮が起こる方向が変わります。これをベクター(方向性)リフトと呼びます。SMASを狙う4.5mmチップは、たるみを戻すことを目標に筋肉の走行方向に合わせて照射し、3.0mmチップは浅いSMASを扱うときは同じ方式で、真皮や皮下脂肪を扱うときは格子状、またはもう少し垂直方向に照射してタイトニングに焦点を合わせます。

つまり同じショット数を使っても、たるみが進んだ方向と程度をまず読み取り、それに逆らう方向で設計する過程が入ります。ウルセラを非侵襲的な方法の中で方向性を与えられる数少ない施術としてご説明する理由が、ここにあります。

効果は2段階で現れます

ウルセラの変化は、時間差を置いて2回現れます。この順序をご存じないと途中の時点でがっかりされやすいため、施術前に必ずお伝えしている部分です。

  • 即時の変化(施術直後〜2週) — 熱凝固点がつくられることで既存のコラーゲンがすぐに収縮し、引き締まる感覚を体感されます。特にSMASを扱う4.5mmで体感が大きい傾向があり、ベクターリフトによる方向性のある変化もある程度感じられます。
  • 一時的な低下(2〜4週) — この時期の収縮したコラーゲンはまだ弱く、新しいコラーゲンはつくられる前のため、体感が減ることがあります。誤った経過ではなく、再生反応が進んでいる途中の区間です。
  • 遅れて現れる変化(2〜12週) — コラーゲンと弾性線維が新しくつくられ、変化がゆっくり積み重なります。おおよそ3か月ごろに変化が最もはっきりする傾向があり、時期と程度には個人差があります。

そのためウルセラは、施術直後の印象よりも、3か月時点の変化で判断する施術に近いと言えます。施術直後の引き締まりがそのまま最終結果だと考えると2〜4週の時点でがっかりされやすく、反対にその区間を過ぎる前に他の施術を急いで重ねるとどの施術がどの変化をつくったのかを区別しにくくなります。持続期間も肌の厚み、たるみが進む速さ、生活習慣によって変わりますので、次回の時期は経過を見ながら決めるほうが正確です。

診察から施術まで

皮膚科専門医が直接診察して原因となっている層を確認し、機器とパラメータを決めたうえで同じ専門医が施術まで続けて行います。カウンセラーが施術をおすすめする体制ではありません。

回数・間隔・維持の時期・費用は、初回の施術前に一緒に決めます。

よくあるご質問

ウルセラの効果はどのくらい持続しますか?
3か月ごろに変化が最もはっきりした後、緩やかに維持される経過が一般的です。持続期間は肌の厚み、たるみが進む速さ、生活習慣によって個人差が大きくなります。次回の時期は、施術後の経過を一緒に見ながら決めるほうが正確です。
高周波リフティングとは何が違い、一緒に受けてもよいですか?
作用の仕方が異なります。エイブル皮膚科のデンシティのような高周波機器は真皮を広く温めて再構築を促し、ウルセラは特定の深さに点の単位で熱凝固点をつくります。扱う層と目的が異なるため一緒に計画する場合があり、順序と間隔は肌の状態と施術歴に応じて診察で決めます。
施術直後は引き締まる感じがありましたが、2〜3週後に戻ったように感じます。
よく経験される経過です。施術直後の変化は既存のコラーゲンが熱によってすぐに収縮することで生じますが、この状態のコラーゲンはまだ弱く、2〜4週の間に体感が減ることがあります。この時期に新しいコラーゲンがつくられ始め、おおよそ3か月ごろに変化が最もはっきりする傾向があります。個人差があります。
表面の皮膚は大丈夫で内部だけに作用する、というのが理解できません。
虫めがねで日光を集める場面を思い浮かべていただくと分かりやすいです。レンズを通過する区間は熱くならず、光が集まる焦点でだけ温度が上がるように、超音波も通過する区間ではエネルギー密度が低く、焦点でだけ急激に温度が上がります。そのため表皮と真皮の浅い層は保たれたまま、目標とした深さにだけ熱凝固点がつくられます。
ウルセラは、ゆるんだ筋膜を引き上げて留める施術ですか?
引き上げて固定する方式ではありません。超音波を集めてSMAS層に微細な熱凝固点をつくり、その凝固点が収縮することで支持構造が引き締まる方式です。凝固点をどの方向に配列するかによって収縮の方向が生まれ、これをベクターリフトと呼びます。
ホームケア機器を長く続けて使えば、近づくのではないでしょうか。
積み重ねで埋めることが難しい構造です。コラーゲンが変性し始める温度に届かなければ回数を増やしても同じ種類の変化は積み重なりませんし、届く深さそのものが違えば狙う層も変わります。家庭用機器を使わないでくださいという意味ではなく、目的の異なる道具としてお考えいただくほうが、期待と結果の隔たりが小さくなります。
家庭で使うホームケアのHIFU機器も原理は同じだと聞きましたが。
同じとは考えにくいです。家庭用機器の多くは7MHz帯を使用しますが、ウルセラで7MHzは3.0mmチップの周波数であり、4.5mmのSMAS層は4MHzが担当します。また、人の皮膚で微細な熱凝固点が実際につくられるのかについて、組織学的な根拠が示されていない場合が少なくありません。
エイブル皮膚科ではどのチップを使いますか?
エイブル皮膚科のウルセラプライムは、たるみの改善を目標に4.5mmと3.0mmのチップを中心に運用しています。2つの層を併せて扱う組み合わせは、構造的なリフトアップと弾力の改善を同時に狙えるため、一般的によく選ばれます。ただし実際の組み合わせは、診察で確認した層の深さとたるみの様子によって変わります。
チップの数字1.5mm・3.0mm・4.5mmはどういう意味ですか?
超音波の焦点が結ばれる深さを意味し、チップごとに使用する周波数が異なります。1.5mmは約10MHzで真皮浅層、3.0mmは約7〜8MHzで真皮深層と真皮・脂肪の境界、4.5mmは約4MHzでSMAS層と深部の皮下脂肪を狙います。周波数が高いほど浅く、低いほど深く焦点が結ばれる仕組みです。
DeepSEEの画面を必ず見ながら施術する必要がありますか?
見ながら照射することをおすすめします。SMASや真皮の実際の深さは方によって、また顔の部位によって異なるため、チップに記された数字だけでは目標の層に焦点が結ばれるとは考えにくいからです。画面で層の位置を先に確認すれば、同じチップでも照射する部位やパラメータを調整できます。
エイブル皮膚科で使用しているウルセラの機器は何ですか?
エイブル皮膚科ではウルセラプライム(Ulthera Prime, Merz)を使用しています。従来のウルセラと照射の原理・最大照射深度・ハンドピースは同じで、超音波画像の観察範囲と画面の鮮明さ、施術のスピードが改善されたモデルです。施術前に層を確認する工程がより行いやすくなった機器とお考えいただければと思います。
ウルセラとHIFUは同じ言葉ですか?
厳密には異なります。HIFU(高密度焦点式超音波)は超音波を一点に集める技術全体を指す大きなカテゴリーで、その中で1mm³未満のごく小さな凝固点をつくる精密な技術をMFU(マイクロ集束超音波)と呼びます。ウルセラは、これにリアルタイム超音波画像の機能が加わったMFU-Vに当たります。広告ではHIFUとウルセラが同じ言葉のように使われることが多く、混同されやすい部分です。
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